特徴的な顔貌と指形態などにより生後間もなく診断を疑われます。乳児早期には呼吸困難、摂食障害(哺乳困難)、体重増加不良、感染症反復、便秘などが問題となります。その他にも種々の合併症に注意が必要です。

①特徴的顔貌

眼瞼裂斜下、鼻翼から下方に伸びた鼻柱を伴った鷲鼻、高い口蓋、耳介変形はRTSに特徴的です。笑ったときの眼瞼裂の形が特徴的です。頭囲は小さめです。

②四肢の特徴

幅広い母指がほぼ全例でみられます。へら状に先が広がり、しばしば角張っています。橈骨側に彎曲していることがあります。他の指も幅広いです。小指の内彎、多指症、合指症などがみられることもあります。関節は柔らかく過伸展性がみられます。

③身体発育

子宮内発育、出生時の身長、体重、頭囲は一般と大きな差はありませんが、乳児期に成長の遅れをきたします。男児は学童期に、女性では思春期頃に肥満傾向になることがあります。女児では平均13歳で初潮がみられます。成人身長については、男性は152cm、女性は143cm程度と低身長です。

④精神運動発達

精神運動発達遅滞を認めます。IQの平均は30~50ですが、個人差が大きく、発達予後はさまざまです。

⑤骨格症状

膝蓋骨脱臼は高頻度に見られ、疼痛を訴えることもあります。肘関節の脱臼や変形、脊椎側彎・後彎、漏斗胸、肋骨異常、頸椎異常なども見られます。転んだときにうまく防御できず、上腕骨などを骨折する場合があります。

⑥皮膚

体幹、四肢にみられる石灰化上皮腫、火傷や手術の痕だけでなく、小さな傷でもケロイドを生じることがあります。

⑦泌尿・生殖器

男児では停留精巣になることが多いです。尿道下裂、重複尿管などの先天異常などもみられます。停留精巣は放置すると精子を作る機能が低下し、悪性腫瘍が発生することがあります。

⑧眼

斜視、屈折異常(遠視、近視、乱視)、睫毛内反、白内障、コロボーマ、眼振、緑内障、角膜異常がみられます。

⑨心臓

約1/3にさまざまな先天性心疾患(心室中隔欠損症、動脈管開存症等)を合併します。

⑩腎

重複腎、腎無形成などの腎臓の先天異常の例があります。またタンパク質が尿中に失われるネフローゼ症候群が報告されています。

⑪歯

歯の密生、不正咬合、副歯をともなう切歯がみられます。「副歯をともなう切歯」はRTSに特有の症状です。

⑫腫瘍

髄膜腫、上皮腫、白血病、悪性リンパ腫、横紋筋肉腫などの腫瘍を合併したとの報告があります。

⑬その他の症状

早発乳房、思春期早発症、てんかん、閉塞性無呼吸が問題となります。