皮膚

 ケロイド形成、瘢痕過形成が見られます。それらは、痛み、かゆみの原因になります。ケロイドは限局性ですが、衣類がこすれただけで、蜂に刺されたような刺激を感じることがあります。

 ケロイドは治療困難です。ザジデン、抗ヒスタミン薬の内服、ステロイドの局所療法、レーザ一療法もあまり効果がありません。刺激によって悪化する場合もあります。外傷を避ける工夫が必要です。

泌尿器

 RTSの男児は停留精巣が多いです。尿道下裂や腎・尿管奇形も調べてみると時々見つかります。尿路感染症にかかりやすいことがあり、放置すると慢性腎盂腎炎になる可能性があります。尿路感染を繰り返すならば早期の精査が必要です。診断には腎エコーや造影検査が必要です。

 男児は新生児期に停留精巣、尿道下裂のチェックが必要です。思春期、二次性徴の時期は正常です。尿道下裂は程度が強い場合、立って排尿ができません。小児専門の泌尿器科での手術が推奨されます。

 女児の過多月経、不正出血には、経口避妊薬が効果的です。妊孕性は正常です。思春期、成人期には性的活動が活発になります。適切な避妊、性教育が患者に、両親や介護者にも必要です。

筋骨格系

 母指の変形が強い場合、巧緻性に影響するので外科的手術を行います。手術は手の専門の整形外科医が推奨されます。足趾は、歩行の妨げ、靴下がはきにくいといったことがあれば行います。関節の過伸展は乳児期にはあまり問題にはなりません。しかし、歩き出すと、筋低緊張、ゆるい靱帯による関節過伸展は問題になります。歩き方は不自然でよちよち歩きです。必要に応じて理学療法を行います。

 RTSの子供は、橈骨頭、膝蓋骨の位置異常のリスクが上がります。放置すると、膝外反、脛骨のねじれ、伸展拘縮が起こります。近年、頸椎脱臼とそれによる脊髄圧迫で歩行不全に陥り手術を必要とした例が報告されました。この診断には頸椎のレントゲン検査やMRI検査が必要です。

 10歳ぐらいになると、前彎、後彎、側彎がおこります。側彎はコルセットや手術が必要になります。思春期に長引く無菌性の股関節炎になる人は車椅子など用いて安静に治療します。痛みが長期化するなら手術も考慮します。大腿骨頭すべり症は、思春期に多く、下肢痛では注意が必要です。

 年1回、胸郭、脊椎、歩き方についての評価を行い、痛み、歩き方の変化がないか股関節の機能的、解剖学的精査を注意深く行います。

腫瘍

 ルビンスタイン-テイビ症候群の患者は相対的に腫瘍のリスクが上がります。腫瘍の大部分は神経堤由来です。鼻咽頭横紋筋肉腫、脊髄内の神経鞘腫、髄膜腫、脳腫瘍、悪性リンパ腫、急性白血病などの報告があります。

 髄膜腫は40歳以降に出てきます。体の一部が腫れる、疲れやすい、活気がなくなる、などの症状に注意します。

脳腫瘍では神経麻痺が生じることがあります。治療は一般と同じです。

その他

 予防接種は積極的に受けましょう。事故予防の配慮は念入りにしましょう。児の周囲では禁煙しましょう。受動喫煙も危険です。