CHARGE症候群の難治性疾患克服事業について

厚生労働省の難治性疾患克服事業 研究奨励分野

 厚生労働省は、従来、「臨床調査研究分野」として130疾患を指定し、その研究を推進していました。これらの指定疾患に含まれていない疾患についてもの研究を奨励するために、平成21年度から「研究奨励分野」を新設し、広く医療関係者等の協力を求めています。

 対象となる疾患は、全国の研究グループからの自己申請に基づき採択されており、採択された研究グループに対して、患者さんの数や病態などの状況の把握を含めた研究を奨励しています。

 「研究奨励分野」の対象となる疾患に関しては「希少であること(全国の患者数が5万人未満)」「効果的な治療方法が未確立であること」「生活面への長期にわたる支障を来すこと」など要素を満たすことが条件付けられています。

また、応募をするために研究グループの側に関しても既に国際的に認められた研究業績を有することなどの要件が課せられています。

CHARGE症候群の研究グループ設立の経緯

 CHARGE症候群の患者さんは小児科・耳鼻科・眼科などさまざまな診療科を受診しておられます。CHARGE症候群だけに特化した専門医という医師はおらず、「先天異常症」を専門とする診療を行っていると考えられます。私たちは「先天異常症」を専門とする医師として、さまざまな疾患の患者さんを診療し、必要に応じて互いに協力してまいりました。
 CHARGE症候群では高頻度に循環器・呼吸器という生命維持に必須の臓器の障害に、コミュニケーションと学習を困難にする感覚器の二重障害(聴覚障害・視覚障害)を伴い、多臓器にわたる合併症を有し、精神遅滞を有する場合もあるために、患者家族への負担は少なくありません。また稀少疾患のために本症の理解が十分ではなく、そのために医療や教育の現場での適切な対応が受けられないことも少なくありません。
 厚生労働省が「研究奨励分野」を設置したとの連絡を受けたあと、私たちは、是非、CHARGE症候群が研究奨励分野のの研究の推進に役立ちたいと考えて、研究チームを組織いたしましたところ、厚生労働省より採択を受けました。

CHARGE症候群の研究グループの研究目的

 厚生労働省難治性疾患克服研究事業「研究奨励分野」の設立の理念に基づき、患者さんの数や病態などの状況の把握を含めた研究を実施すると共に、より精度の高い診断法の確立や、iPS細胞を利用した疾患の発症の仕組みを解明し、根本的な治療法の解決を目指す研究を実施しています。