CHARGE症候群に関する医師向け情報

診断基準

 一般にBlakeらによる診断基準が用いられています。大症状に含まれる所見として、眼球コロボーマ・小眼球症、後鼻孔閉鎖・狭窄、耳奇形、中枢神経障害の4症状、小症状に含まれる所見として、外陰部低形成、発達遅滞、心血管奇形、成長障害、口唇口蓋裂、気管食道瘻、特徴的な顔貌の7症状を用います。

 

 大症状を全て満たす場合、大症状を3つと小症状を3つ以上満たす場合、大症状を2つと小症状を6つ以上満たす場合にCHARGE症候群と診断されることになります。

 必ずしも診断基準を満たさない場合もあり、最終的な判断は医師が行うことになります。

★ 診断の手助けになる情報

  1. 成長障害や精神遅滞はほぼ必発である。成長障害は出生後に顕著となる。一部の症例に成長ホルモン分泌不全.を伴う。中枢神経系の奇形(無嗅脳症, 全前脳胞症等)をともなうことがあり、画像診断を要する。精神遅滞は境界領域~重度と様々である。
  2. 70%程度に先天性心疾患を認める。Fallot四徴・動脈管開存・心室中隔欠損等が多い。
  3. 顔面の非対称性(顔面神経麻痺症状)を認める。左右の耳介の形態も異なることが多い。眼険下垂、上額低形成、下顎低形成(PierreRobinシークエンス)、口唇口蓋裂などの合併あり。これらの奇形に加えて、咽頭・喉頭の協調運動の低下により、 哺乳障害・嚥下障害をきたすことが多く、乳幼児期には体重増加不良となる場合が多い。
  4. 片側ないし両側性の虹彩・網膜・脈絡膜・乳頭のコロボーマ(欠損)はほぼ必発である。虹彩コロボーマを認めない場合にも眼底の検査を必ず行う。小眼球・網膜剥離や白内障を伴う場合がある。
  5. 耳垂の無または低形成などの耳奇形に加え、感音性・伝音性または混合性難聴を認める(80%)。
  6. 膜性・骨性の後鼻孔閉鎖(狭窄)を認める。疾患概念が提唱された際は、診断上後鼻孔閉鎖が重視されたが、口蓋裂の合併例も多く、その場合には後鼻孔閉鎖を認めないことに注意する。
  7. 停留精巣・尿道下裂,陰唇の低形成・二次性徴の欠如など性器低形成(~70%)。視床下部性性腺刺激ホルモン分泌不全をともなう。
  8. 大部分の患者が眼コロボーマを有し、診断的な価値が高い。ただし、著者らの検討によれば、視診で同定できるような虹彩コロボーマは少なく、眼底検査により視神経乳頭コロボーマの有無を確認することが必要である。
  9. 後鼻孔閉鎖よりも、むしろ口唇口蓋裂の頻度の方が高く、診断上有用な所見である。後鼻孔閉鎖のない症例でも、CHARGE症候群を除外できない。食道気管瘻はVATER連合の主症状として有名であるが、CHAREGE症候群においても食道気管瘻がしばしば合併する。

鑑別診断

 気管食道瘻の合併例ではVATER連合、小顎症・口蓋裂例では22q11.2欠失症候群、外耳奇形を伴い顔面非対称の強い症例では鰓弓症候群、小顎症・外耳奇形例ではTreacher-Collins症候群が挙げられる。

 染色体異常症の中にも本症候群と類似した所見を呈するものがあり、必要に応じて染色体検査を行う。

治療目標

 CHARGE症候群においては多臓器に合併症をきたすため、多面的な医療管理が必要になります。乳幼児期早期の生命予後を決めるのは先天性心疾患と呼吸器障害です。すみやかに気道(後鼻孔・口蓋・喉頭・気管)、心臓の評価と治療を進める必要があります。多くの患者が先天性心疾患(ファロー四徴症、心房・心室中隔、心室中隔欠損、大動脈弓離断、動脈管開存等)を合併します。

 必要に応じて、後鼻孔閉鎖・狭窄に対する外科的治療をおこないます。喉頭の構造異常等により上気道閉塞を生じる場合には気管切開をおこなう場合もあります。多くの患者では嚥下機能が低下しており、周術期には誤嚥に注意して下さい。

 成長障害・発達遅滞を合併することから栄養・成長・療育等の問題について、早期介入・継続的なフォローを必要とします。哺乳障害・摂食障害が続く場合には経管栄養・胃瘻造設も考慮します。

 ほとんどの患者が眼科的・耳鼻科的な継続的なフォローを必要とします。難聴を合併するため、補聴器の適応についても早期に評価すべきでしょう。 また、慢性中耳炎にも注意します。
 前庭機能の異常のために粗大運動の発達が遅れるが、リハビリテーションを継続します。
 思春期には性腺機能低下(中枢性)にも注意します。

発症機序

  • CHD7'遺伝子 8番染色体q12に位置
  • クロモドメインへリカーゼDNA結合遺伝子スーパーファミリーに属する(CHD; chromodomain helicase DNA-binding)
  • このファミリーのタンパク質は、クロマチン構造と初期の胚発生の遺伝子発現に作用する
  • CHD7'遺伝子は、眼、蝸牛、脳、中枢神経系、胃、腸、骨格、心臓、腎臓、肺、肝臓など多くの胎児組織や成人組織に発現している
  • CHD7'遺伝子のヘテロ接合のナンセンス変異(P.192)、ミスセンス変異が、8q12の領域の欠失と同じように認められる 
    • この遺伝子のハプロ不全(P.76)によって疾患が引き起こされる
  • 2.CHD7;多能性の移動性神経堤の形成と、神経堤の転写回路活性化に必須
  • さらに、ほかのクロマチンリモデリング複合体PBAFと協調して、神経堤の遺伝子発現と細胞移動を促している
    • Vol 463 18 Feb 2010/nature
  • 神経堤 craniofacial bones  cartilages  the peripheral nervous system  pigmentation  cardiac structure などへ分化する。

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