感覚器の障害に対する検討 - 眼科的合併症 -

患者・家族会を対象としたアンケート調査

 CHARGE症候群の患者・家族会を対象としたアンケート調査の一環として、眼合併症と視覚障害に関する実態を書面にて調査した。総計57例の調査結果を患者年齢によって区分し検討しました。
 両眼に器質的眼合併症をもつ視覚障害者の比率は50~70%で、視力障害のほか視野障害、羞明をきたしている例が高率でした。    
 全年齢において大部分が眼科的管理を受けていましたが、乳幼児期(0~3歳)に視覚障害の評価や弱視訓練・ロービジョンケアを行っている例は少数でした。また乳幼児期~学童期に視覚の訓練や特別支援を受けた例の比率が低く、重複障害児に対する医療・療育・教育機関のさらなる連携体制が必要であることが示されました。

CHD7変異陽性例に対する二次調査

 CHD7遺伝子変異陽性例(つまり客観的にも診断が確実な患者さん)に対する二次調査の一環として、眼異常の合併率と臨床像について調査・検討しました。
 総計19例38眼の調査結果において、眼異常の合併率は95%と高率で、0.3未満の視力障害をきたしている例は65%でした。眼所見として眼底の網脈絡膜コロボーマ84%、視神経乳頭コロボーマ87%の比率が高く、黄斑欠損・部分欠損は55%でした。

感覚器の障害に対する検討 - 聴覚障害の検討 -

CHARGE Syndromeのmajor signとminor signの定義に合致する15症例を選び、

  1. ABRによる聴力像
  2. 側頭骨HRCT
  3. コミュニケーション手段(口話、補聴器、手話、人工内耳)
  4. CHARGE Syndrome

の教育状況について調査・検討しました。患者さんの内訳は下記の通りです。

期間:1985~2007年
人数:15人(男:5人、女:10人)
年齢:11ヶ月~29歳(平均12.8歳)

 

  1. 側頭骨CTにおいてさまざまな異常が認められました。特に蝸牛奇形(40%)、三半規管奇形(72%)がありました。
  2. 14/15人(93.3%)は両側中等度・高度難聴を有していました。合併症の有無にかかわらず全員が補聴器を装用し、そのうち1人が人工内耳を施行していました。
  3. 8人がろう学校、3人が通園施設、2人が普通学校で教育を受けていました。