ご両親への最初のメッセージ
CHARGE症候群財団のホームページ www.chargesyndrome.org
の日本語訳です。一部加筆しています。
あなたは、あなたの赤ちゃんがCHARGE症候群と呼ばれる疾患を持つ、あるいはその可能性があると言われました。あなたの赤ちゃんは、おそらく複数の医学的合併症を起こし、依然入院中かもしれません。それは、あなたとあなたの家族にとって恐ろしい時間でしょう。
すべての両親は、診断とその診断が子供と家族にとって意味することに疑問を持っています。すべて消え去ると言えたらいいと思いますが、残念ながらそのようなことはありません。あなたは、この先少々困難な日々を過ごすかもしれません。しかし、どうか覚えていていただきたい。あなたと同じ境遇に置かれ同じように過ごしてきた多くの私たちがいることを。どうか私たちの所へアドバイスと支援を求めに来ることを躊躇しないで下さい。
ここに、CHARGE症候群と向き合っている他の両親から寄せられた質問と回答がいくつかあります。これらが医師からではなく両親からの回答であることにご留意下さい。これらは、医師による助言の代わりになるものではありません。
なぜ私の子供はCHARGEと考えられるのか?
おそらくあなたのお子様は、他の疾患ではまれですがCHARGEの子供ではよく見られる特徴を複数持っています。これらには、虹彩欠損、後鼻腔閉鎖、耳介の異常、その他の異常が含まれます。他の疾患を除外するために、あなたのお子様は染色体検査などのいくつかの検査を受けてきたことでしょう。DNA検査によってCHARGEの診断が確定される症例もありますが、依然、CHARGEの診断は基本的に臨床的特徴に基づきます。
もし、あなたのお子様が臨床遺伝科医の診察を受けていたら、CHARGEの診断が考えられた理由をその医師から聞くことができるはずです。
CHARGE症候群はどの様にして起こるのか?その疾患は再び起こるのか?
「症候群」とは、先天異常または他の外観的特徴のパターンが認識できることであり、しばしば確認される原因(例えば、単遺伝子異常または染色体異常)を伴います。
最近の研究で、多くのCHARGE症例でCHD7という遺伝子の新しい変異または変化が原因であることが示されました。この変異は、通常CHARGE患者で始めて発現し、通常はいずれの親からも遺伝しません。すべてのCHAEGE患者に、CHD7遺伝子の変化が認められるとは限りません。CHARGEに関する他の遺伝子が今後発見されるかもしれません。
CHARGEは、妊娠中の既知の曝露物質には起因せず、また、性別、人種、国籍、地域または社会的経済的立場にも関連しません。CHAEGEの子供を1人持つ両親では、同じ疾患を持つ子供が再び生まれる危険性は低いものの全くないわけではありません。おそらく約1~2%と考えられます。
1家族の中に2人以上のCHARGEの子供がいる例の報告はわずかです。
なぜ多くの異なる専門医が私の子供を診察するのか?どの医師が責任者なのか?
ほとんどのCHARGEの子供は、多臓器(目、心臓、腎臓など)に問題を抱えているため、多分野の専門家が関与します。残念ながら、これらすべての専門医の間、そして両親とのコミュニケーションは、理想より低いこともしばしばあります。もし、あなたのお子様のケア全体を統合する1人の専門医を特定できれば、大きな助けとなります。それは、心臓医かもしれませんし、遺伝子専門医かもしれませんし、他の医師かもしれません。あなたのお子様のケアについての計画をあなたと互いの専門医同士に説明できるよう、専門医をすべて集めた「チームミーティング」の機会を持てるかどうか尋ねてみて下さい。
どの専門医に見せるべきか?
あなたのお子様の医学的合併症によります。CHARGEが疑われる子供はすべて、循環器科(心臓)、眼科(目)、聴覚科(聴力)および泌尿器科(少なくとも腎臓超音波検査)による検査を受け、どの問題があなたのお子様に見られるか、あるいは見られないかを決定すべきです。見つかった問題によって、多くの場合はENT(耳鼻咽喉)、口蓋裂チーム、摂食指導チームあるいは他の専門医も関与します。遺伝子専門医が関与する場合、その医師は多様なチームメンバーを統合し、異なる「~科医」の役割を理解するのを助けてくれるでしょう。両親のための管理マニュアルは、各専門医の役割を理解する助けとなります。
小児科医のことを忘れないで下さい。CHARGEの子供はそもそも小児です。子供たちは、予防接種、体重チェック、耳感染症のような一般的事項すべてに関して小児科医の診察が必要です。あなたの小児科医は、複雑な医療システムにおいて、あなたとお子様の支えとなることができます。
私の子供は見たり聞いたりできるようになるのか?
新生児期のごく初期には、正確な検査または最終的な視力と聴力の予測は困難です。多くの医師は、両親に最悪の場合のシナリオを伝えます。早期診断・予後は不正確になる可能性があります。聴力検査技師と同時に小児眼科医、ENT(耳鼻咽喉科医)の定期診察は、あなたのお子様の能力を明らかにする上で役立つでしょう。
しかし、お子様を最もよく知っているのは、両親または保護者であるあなたです。あなたが自宅で見る進捗を、医師に伝え続けて下さい。医師は、あなたのお子様を自宅外の設定で短時間診察しているということを心に留めて下さい。あなたはお子様とともに生活しているのです。私たちの子供のほとんどが限られた視力あるいは聴力を持っています。限られたというのがキーワードです。
この子供たちが、彼らの持つ視力または聴力がどうであれ、それを使って補うことを自然に学ぶことを理解して安心しましょう。それが子供たちの知っているすべてなのですから。
CHARGEはどのように私の子供の認知能力に影響するのか?
感覚の喪失と外科手術による時間の損失および頻回の病気は、他の能力とともに子供の認知機能を形作る刺激への曝露に多大な影響を与えます。複雑な医学的問題を抱える子供たちは発達遅滞をきたことが予想されますが、それは、遅れを取り戻せないという意味ではありません。感覚喪失のため、特に視力喪失と聴力喪失のために、コミュニケーションは大きな懸念となります。コミュニケーションシステムが確立する前に、認知能力を測ることはできません。私たちの子供たちの知能は、しばしば視力、聴力、学習、運動あるいは言語障害のために低く評価されます。
利用できるサービスをすべて活用し、あなたのお子様が最大限の可能性に到達できるように手を差し伸べて下さい。
付加的なサービスは何が必要か?
ほとんどの州では、出生直後から3歳までの子供に対する早期介入プログラムと、3歳から5歳までの学校ベースのプログラムが利用できます。多くの早期介入プログラムには、理学療法(はいはいや歩行などの粗大運動機能)、作業療法(指で挟んだり手で握ったりする微細運動機能)、言語療法、教育、場合によっては視力と聴力に関するサービスが含まれます。
多くのプログラムで、費用は州によって負担され、サービスは適格とされた子供たちに無料で提供されます。一部の州では、費用または料金がかかる場合もあります。もしもあなたが、自分の地域のプログラムにまだ連絡していなければ、地元の学校区または精神衛生・精神発達遅滞プログラムに連絡し、自分の地域で何が利用できるのかを確認することをお勧めします。
米国では、各州に視聴覚障害のコーディネーターがいます。あなたのお子様は、適格と認定されるのに聴覚障害または視覚障害がなくても構いません。もしお子様に視力喪失および聴力喪失があれば、視聴覚障害プログラムを通してサービスを受ける有資格者とされる可能性があります。
これらのプログラムについてまだ聞いたことがなければ、病院のソーシャルワーカーに相談し、あなたの地域で利用できるサービスをさらに見つけられるように援助を依頼するとよいでしょう。あなたは、できる限り早期にサービスを開始できるよう、お子様がまだ入院している間からプログラムを検討された方がよいかもしれません。
私の子供の将来はどうなるのか?
これらの子供たちは多くの問題を抱えていますが、生存し健康で幸せな市民となります。医師の受診と医学的問題は、お子様の成長とともに漸減し、あるいは変わっていきます。子供たちは各々異なると言うことを心に留めて下さい。将来への準備としてできることをしながら、知らないことを受け入れ今日を楽しんで下さい。決してあなたのお子様の能力を低く評価しないで下さい。常に障害は二の次に考えることです。関わりあい、互いに影響しあい、楽しむことです。
なぜなら、時には苦しいかもしれませんが、子供たちはどんどん成長し、多くの障害を乗り越え、あなたが誇らしく思う日が来るのですから。
どうしたらCHARGEについてもっと知ることができるか?
CHARGE症候群財団に入会することをお勧めします。費用は年間$15です。もしすぐに支払えない場合は延期できるので、まずは連絡して下さい。インターネットにアクセスできる場合、ウェブサイトwww.chargesyndrome.orgをチェックして下さい。Eメールアドレスをお持ちの場合、リストサーブへの登録をご検討下さい(ウェブサイトのリンクを参照)。
CHARGE症候群:両親のための管理マニュアルをご注文下さい。これは$25で、医学、発達、教育の面で役に立つ情報が満載です。これはまた、あなたのお子様の医療記録を整理するのにも役立ちます。
他の質問は、財団までご連絡下さい。私たちは支援に最善を尽くします。